【10周年によせて】
 
 10年を振り返り思うことは、唯々感謝しかありません。
 作家活動を始めて1年は全く作品が売れませんでした。同じような時期に活動を始めた方々がぽつぽつと売れていくのを見ながら1年経って1枚も売れなかったらやめようと思っていました。
 それが今こうして活動できているのは、ひらのにこという作家の作品を認めてくださった皆さまおひとりおひとりのおかげです。深く感謝いたします。

 活動当初、いつか展示をしたいと憧れていたギャラリーのひとつがみうらじろうギャラリーでした。そこで展示ができるようになったのも、あるグループ展でご一緒した方に「いつかみうらじろうギャラリーで展示がしたいんですよね」と話していたら、「私、来年個展やるんで紹介しますよ」といってご紹介してくださったことがはじまりです。その方とご一緒できたのもグループ展にお誘いいただいたからですし、お誘いくださった主催の方と知り合えたのも別のギャラリーでご一緒していたからなのです。
 人との繋がりが今いる場所に導いてくれた、そう強く感じ感謝しています。

 みうらじろうギャラリーで展示ができていなかったら、美人画ボーダレスにご掲載もいただけなかったでしょうし、個人の作品集の出版なんて幸運はなかったでしょう。
 縁とは何と偶然的で奇跡的なのでしょうか。

 自分は若い頃に手酷く挫折した人間なので、新しく作家活動をはじめた時何も望んでいませんでした。
 憧れていたギャラリーで何度も個展ができたり、作品集を出版していただいたり、そんな未来なんて10年前は想像すらできませんでした。
 ある方に「シンデレラストーリー」と表していただきましたが、本当にそのとおりだと思います。
 私は幸せな作家です。

 あらためて私の作品を好きでいてくださる皆さま、関わりを持ってくださっている作家さま、作品集を刊行して下さった出版社の皆さま、お世話になっているギャラリーの方々に心から深謝いたします。

 そして、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
 苦労とはこれからすることのことだと思っているので、ここからもさらに大きな壁にぶつかっていき、七転八倒しながら精進していきます。


 最後にひらのではなく平野としてにこさんへ。
 おかげさまで諦めた夢や捨てた希望も別の形で輝かせることができましたよ。
 10年お疲れさま。
 これからもよろしく。

2024年4月 ひらのにこ