みうらじろうギャラリーbis JIRO MIURA GALLERY bis
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モリケンイチ作品展 「素晴らしき新自由世界」より

会期 2022年7月30日(土)〜8月14日(日) 月曜・火曜休 12時〜19時

1969年生まれ。2002年から6年間フランスに留学、ヴェルサイユ美術学校卒業。
帰国後は札幌をベースに個展を中心に活動。

今年4月に開催いたしました個展からの作品を中心に、ゆうばりファンタスティック国際映画祭の公式イメージとして描かれた「虚構の国のアリス」のほか、新作1点を交えた展示です。

作家による「素晴らしき新自由世界」についてのテキストは以下の通りです。

規制を撤廃し、市場原理と自由競争を奨励するフリードマン式の自由経済がもたらしたものは、自由という名とは裏腹の強者の論理の横行と弱者の排除、参事への便乗と支配、経済格差、極端な物象化と人間そのものの消費だったのかもしれませんが、日常的な視界にはその全体像は依然として隠されているように思われます。
ところで、昨今の社会に関するイマージュは写真や動画が支配的で、絵画が社会を描き出す機会はますます失われているようです。しかしながら、一般的な写真や動画というものは、いわば断片から全体を示唆する換喩表現なので、絵画のように全体を代理表象によって暗示する隠喩表現とは本質的に異質な方法論であるように思われます。
したがって、絵画的なメタファーによる社会のトータルイメージの把握というもの自体の意味が失われたわけではないと僕は考えてきました。
そんなことから、個人的にこの数年は写真とは違う画家の眼差し(僕の場合は西洋絵画的な)の意味というものを改めて問い直してきました。
とりわけ、西洋美術のライトモティーフとして何度も現れる「見えないものを見ようとする」眼差しに関して、イデアや神々や心の内面のような想像力を触発するモチーフと解剖学や精神分析に代表される分析的で科学的な眼差しは表裏一体のように機能している点に注目しました。
また、体得された絵画技法の様式的差異、その作家自身が属する地理的歴史的差異、あるいはジャンル的嗜好の差異が持つ、ある種の美的バイアスが生む眼差しの偏光にも注目してみました。
このような前提から、目の前にありながら直接見ることができない社会というものを、油彩絵画特有の眼差しを用いて絵画へと昇華するにはどうすべきか。
たとえば肖像画家が目の前のモデルの深層心理をつかむように、この社会の真相を捉えることはできまいか。
世界や社会なくして個人の存在が不可能である以上、社会が暗示する人間の真理もあるのではないか。
そんな観点から、今回の連作を制作しています。
コロナ禍やウクライナ侵攻の悲惨を進行形で目の当たりにする今だからこそ、ご高覧いただきたいと思います。



No. image title year medium image
measurement (cm)
price
(JPY)
1 暴走機械 2022 Oil, tempera on panel 72.7x91.0
(F30)
396,000
2 飛ぶ人々 2022 Oil, tempera on panel 60.6x72.7
(F20)
264,000
3 プラットフォーム 2022 Oil, tempera on panel 53.0x65.2
(F15)
231,000
4 虚構の住人 2022 Oil, tempera on panel 45.5x60.6
(P12)
211,200
5 隣人たちの午後 2022 Oil, tempera on panel 45.5x53.0
(F10)
176,000
6 優雅なるキッチュ 2022 Oil, tempera on panel 41.0x53.0
(P10)
176,000
7 隷属の悦楽 2022 Oil, tempera on panel 45.5x38.0
(F8)
123,200
8 プロレの嘆き 2022 Oil, tempera on panel 41.0x41.0
(S6)
105,600
9 虚構の国のアリス 2022 Acrylic on canvas 103.0x72.8
(B1)
SOLD
10 メイド・イン・ジャパン 2022 Oil, tempera on panel 45.5x60.6
(P12)
211,200



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