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ひらのにこ個展「王子さまのいないシンデレラ」
2023年4月8日(土)〜4月23日(日) 12:00~19:00 月曜・火曜休
太宰治の『女生徒』をモチーフにした作品を展示いたします。
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ひらのにこ作品集『White Light』
発行:芸術新聞社刊
発行日:2021年5月8日発売
B5判並製/140ページ
税込3,080円
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HIRANO Nico solo exhibition
"Cinderella without a prince"
Dates : April 8 sat. - 23 sun, 2023
Open 12:00 - 19:00, closed on Monday and Tuesday
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ひらのにこ
長野県出身、東京都在住。
2014年より本格的に作家活動を始め、都内を中心に個展やグループ展で展示を行っている。
またエッセイやアプリ、スマートフォンケース、CDジャケットなどのイラストも手掛ける。
『美人画ボーダレス』、『ILLUSTRATION2018』掲載。
2021年、芸術新聞社より作品集『White Light』刊行。
■個展
2018年 |
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ひらのにこ個展/みうらじろうギャラリー(東京) |
2019年 |
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白光/白熱/アートコンプレックスセンター(東京) |
2021年 |
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ひらのにこ作品集刊行記念展『White Light』/みうらじろうギャラリー(東京) |
詳しくはこちらをご覧ください。
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個展『王子さまのいないシンデレラ』について
太宰治の『女生徒』をモチーフに制作した作品で構成した展示となります。
『女生徒』初読の感想は『なんで太宰はこんなに少女の気持ちがわかるのだろう』でした。心が震えたのを覚えています。
それは女生徒の行動や思考に「作り物感」や「嘘くささ」を感じなかったからです。
後に有明淑(ありあけしず)というファンの女性から送られて来た日記を元に太宰が執筆したものだと知り、少女の思考をトレースしたかのような文章の秘密としてはとても腑に落ちるものでした。
『女生徒』のほぼ九割が有明淑の書いたものに依拠しているそうです。
それを知っても『女生徒』を書いた太宰に対する畏敬の念のようなものは変わりません。
三ヶ月の長さの日記を一日の出来事として再編したことで、喜怒哀楽は煮凝りのように濃度を増し、少女の思考が暴力的なまでに純度が増したのも、文体と内容の再構成、取捨選択を太宰が行ったからに他ならないと思えるからです。
そして残り一割に太宰が込めたもの。そこに興味が湧きました。
物語冒頭の朝と終わりの夜のシーンは完全に太宰のオリジナルだそうです。
灰色の目覚めを迎える朝、夜諦念し引きずり込まれるように眠りに入る。そしてまた灰色の朝に目覚めるーー。女生徒の物語はあそこで終わるのではなくまた別の一日が始まり、起こる出来事は違えど同じように思索し堂々巡りを繰り返していく…円環構造にすることで、毎日変わらずに続いていく日常を表したのではないか思います。
最後の『おやすみなさい。私は王子様のいないシンデレラ姫』という一文に惹かれ続けています。
王子様という希望が現れなかった物語…救われない未来を、灰を被ったような日常を延々と繰り返し生きなければいけない絶望。
シンデレラには王子様が来たという祝福よりも、私には訪れないという諦念。
思春期特有の空気感を、実際の少女の日記を下地にすることで真空パックし、私たちに追体験させてくれる『女生徒』。
思春期を『十代の麻疹のようなもの』と切って棄てられない自分としては、女生徒が抱える生きづらさや将来への不安には身につまされる思いがします。
ですが歳を重ねた今は大きな幸せが訪れることだけが幸福な人生ではなくて、変わり映えのない毎日の中に小さな幸せを見い出して大切にしていくことも十分に幸福な人生なんだと知っています。
『おやすみなさい』は一日を終える言葉ですが、明日を迎えるための言葉でもあると思います。
年齢も性別も関係なく、灰色の日々の中、儚い希望と淡い絶望を抱えて生きる全ての『女生徒』への鎮魂曲と福音歌となることを願って。
『おやすみなさい。王子様のいない私たち』
2023年4月 ひらのにこ
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The List of Works
No. |
image |
title |
year |
medium |
image
measurement (cm) |
1 |
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Cinderella |
2022 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
45.5x60.6
P12 |
2 |
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Useless and Amoral |
2022 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
53.0x41.0
P10 |
3 |
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Glasses are a phantom |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
45.5x38.0
F8 |
4 |
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Loneliness in the twilight |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
38.0x45.5
F8 |
5 |
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Morning is mean |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
31.8x41.0
F6 |
6 |
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Why can't we love only ourselves? |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
31.8x41.0
F6 |
7 |
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Fever remains in my body |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
24.2x33.3
F4 |
8 |
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Happiness will never come, I know |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
24.2x33.3
F4 |
9 |
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Tonight, Happiness can't make it |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
24.2x33.3
F4 |
10 |
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Surely someone is wrong |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
22.0x27.3
F3 |
11 |
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Scent left behind by last summer |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
27.3x22.0
F3 |
12 |
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Forever as a girl |
2023 |
水彩紙に色鉛筆、
透明水彩 |
27.3x22.0
F3 |
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